妊産婦の食事のポイントは、バランスよく栄養を摂取することです。おなかのなかの赤ちゃんは、お母さんの身体から栄養をもらっています。胎児は母体からさまざまな栄養素を吸収しますから、妊娠中の女性は赤ちゃんの分まで栄養をとらなくてはなりません。もちろん、栄養が足りないのはいけませんが、栄養過多の障害が近年では問題になりつつあります。エネルギーばかり多い必要はまったくありません。たんぱく質や鉄分、カルシウムなど、必要な栄養素を十分に過不足なく摂取することを心がけます。
妊娠中の妊婦の食事のポイントをあげます。
1.バランスの良い食事
妊娠の前期は、つわりがひどくなりがちですから、食事はとりたくてもとれないことが多いです。胎児の発育もそれほど活発ではありませんから、さほど気に病むことなく、ゆったりと気持ちを楽にしてこの時期を乗り切りましょう。
むしろ大切なのは、後期になってからです。胎児の発達に障害が及ばないよう、過不足なくバランスの良い食事を心がけます。
2.たんぱく質、カルシウムを充分にとる
たんぱく質とカルシウムは胎児の発達と母体の維持の両方に欠かせない栄養素です。乳製品はたんぱく質とカルシウムを同時にとることができる優良食品です。
3.塩分は控える
塩分をとりすぎるとむくみや高血圧を招きます。妊娠中にかぎらず、1日10グラム以下に抑えましょう。
4.アルコールは控えめに
アルコールやカフェインの入った飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶)は、胎児の成長に好ましくありません。たばこは未熟児や障害をもった子どもの誕生、早産の一因になります。
☆妊娠前期の食事
妊娠前期は、胎児の発育も少ないことから、それほどエネルギーを必要としません。また、つわりがひどい方もいらっしゃいますから、さほど食事に神経質にならなくてもいいでしょう。
逆に、食べすぎで太ってしまわないように気をつけます。妊娠中の体重の増加は、多くても12キログラム程度が妥当とされます。1週間に500グラム以上も体重が増加するのは、少し注意が必要かもしれませんね。妊娠中に太りすぎると、妊娠中毒症や糖尿病の危険が高まります。分娩時の障害も懸念されます。
もともと太っている方のなかには、妊娠中に体重を増やす必要がない方もいらっしゃいます。肥満傾向のある方は、妊娠前期には、むしろ減食する必要がある場合もあるのです。
したがって、妊娠前期は、1日1950キロカロリーを基本とします(肥満傾向のない人の場合)。必要充分に摂取するよう心がけるのは、たんぱく質とカルシウムです。たんぱく質は、貧血予防も考え、動物性のものをとります。カルシウム補給には、牛乳やヨーグルトなどの乳製品が良いでしょう。牛乳は、そのまま飲むのが苦手な方は、料理に使ってはどうでしょう。クリームシチューやスープに入れると簡単にとれます。
ただし、つわりの時期は、まだ赤ちゃんもさほど成長しませんから、あまり気にせず、食べられるものを少しずつ食べるようにし、気持ちを楽にして充分に心身を休めてください。嘔吐がある方は、ミネラルと水分を補給するために、果汁を召し上がってください。
☆妊娠後期の食事
妊娠後期は、胎児の発育の盛んになりますし、つわりの時期もすぎて食べやすくなります。胎児の成長分も含めて、1日に2150キロカロリー程度をとるのが妥当とされます。たんぱく質、カルシウム、鉄分を充分にとるように心がけ、妊娠中毒症や貧血を予防します。たんぱく質は、妊娠していないときよりも多く、80グラムを目安にします。
たんぱく質は、鉄分の補給も考え、卵や肉、魚、牛乳など動物性のものをとるといいでしょう。もちろんレバーはすばらしいたんぱく源であり、鉄分の理想的な補給源です。普段は苦手、という方も、是非、食べてみてください。レバーは、血抜きをすると食べ易くなります。少し牛乳につけておくと臭みが消えます。
また、植物性のたんぱく質としては、豆腐、油揚げ、厚揚げ、など、大豆製品がいいでしょう。
カルシウム源には、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品がいいです。その他、小魚やひじき、それに緑黄色野菜もミネラルが豊富です。牛乳は、そのまま飲むのが苦手な方は、お料理に活用してみましょう。ホワイトソースにたっぷりと入れて、グラタンやドリア、ホワイトシチューにしてもいいですね。
肥満気味の方は、糖分や脂肪を取り過ぎないようにします。フライパンをシルバーストーン加工、フッ素樹脂加工のものにすると、料理に油を使いすぎなくてすみます。また、むくみや妊娠中毒症の予防のために、塩分や水分は控えめにします。サラダにドレッシングをかけすぎると、塩分や油脂をとり過ぎてしまいます。酢の物にし、三杯酢でいただいてもおいしいですよ。