☆日常生活と家事
妊娠は、病気ではありませんから、妊娠に異常がないならば、出来る限り普通の日常生活を送るよう心がけたいですね。むしろ、栄養の取りすぎや運動不足は肥満を招き、妊娠中毒症や難産の原因となります。日常生活のなかで積極的に身体を動かすことで、妊娠中に健康な生活を維持できますし、分娩も軽くすることができます。
しかし、家事のなかで、中腰での姿勢で洗濯をしたり、しゃがんで草むしりをしたり、雑巾がけや、重いものを持ち上げる、といった、腹部に強い圧迫や緊張を与える姿勢や動作は避けましょう。つま先で立って物を取ったり、長時間のミシンがけもよくありません。自転車での買物や長時間の立ち仕事、歩行、激しい階段の上り下りも控えます。転倒の可能性がある動作は、避けます。冷えすぎたり、暑すぎたりする場所で仕事をしたり、長時間すごすことのないように注意しましょう。
また、妊娠末期になると、腹部が大きくなり、腰痛を起こしやすくなります。これは重心が前に傾いてしまいがちになるためです。壁を背にして立ち、1日に数回、自分で姿勢を矯正するようにすると良いでしょう。休むときには、仰向きかやや横向きにし、下腹部の下や膝下にまくらなどを置くと楽です。
積極的に動くことは大切ですが、無理は禁物ですし、疲れたらすぐに休息をとることが大切です。栄養が労働のほうにいってしまい、胎児への栄養供給が少なくなると、胎児の発育を妨げます。流産、早産の危険も高まりますので、疲れない程度に動くことを心がけるべきです。
妊娠中の衣服の基本は、1.清潔であること、2.保温性が高いこと、3.軽く動き易いこと、です。新陳代謝が盛んになり、おりものも増えます。汗もかきますから、入浴で身体を清潔に保つと一方で、下着は吸湿性にすぐれて刺激の少ない、綿製品がいいでしょう。はきものは、安定性や腰への負担も考え、ヒールの低い靴にします。3センチメートル程度の高さが適切でしょう。つっかけサンダルや、ヒールの高いものは転倒しやすく、危険です。
☆性生活
一方、妊娠中の性生活は、全面禁止というわけではありません。しかし、性交は、特に妊娠初期(妊娠15週、4ヶ月)がすぎる頃までは、流産の危険を招く要因となりますので、注意が必要です。腹部に圧迫をかけるような姿勢は禁物。刺激を与えすぎない、回数を減らす、さらに清潔を心がけるなどの配慮が必要です。また、次のような異常が見られたらすぐに中止し、またたとえ回復しても、以後最低でも1週間は性交を避けるべきです。
次のような症状に注意
●おりものが多い
●出血がある(少量でも危険信号)
●熱がある
●下痢をしている
●破水した
●下腹部に痛みがある
セックスが引き金となって、流産や早産、破水、陣痛が起こるのは、妊娠末期が最も多いといわれています。
●妊娠初期・・・26.3パーセント
●妊娠中期・・・5.3パーセント
●妊娠後期・・・21.1パーセント
●妊娠36週以後・・・47.4パーセント
(柳田洋一郎 周産期医学 参考)
妊娠初期
特に15週(4ヶ月)までは、性交が流産の引き金となりますので、警戒が必要です。回数を減らすこと、子宮を強く刺激したり、腹部の圧迫をしないようにします。
妊娠中・後期
妊娠16~35週(5~9ヶ月)は、比較的母体が安定している時期です。初期や末期と比べると安心できるとはいえますが、この時期は子宮が大きくなり、腹部のふくらみもめだって来るころです。胎動も始まりますから、やはりあまり刺激しないようにすることや、腹部への圧迫は避けるべきでしょう。
妊娠末期
特に胎児の頭が下がってきたら、結合を浅くし、回数も極力控えてください。36週をすぎたら、避けたほうが無難でしょう。